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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第3章 ~偽りの気持ち~
言葉はまやかし、本心をその言葉で隠せる。
結構、真実は自身にしかわからないのだから。
「ゴメンなサク。ちょっと驚いた、お前がそこまで思ってくれてるって思わなかったから」
「…………私が?」
ルカはふっと優しい表情を見せた。
「俺たちは香りに惹かれあってるんだ、気持ちなんて関係ない、相性がいいってそういうこと」
香りに惹かれ合うのはどんな言葉よりも真実を語る。それは、本人の気持ちよりも強い。
そうあることが必然ですら思うほど互いを本能で求め合う。
「それでも気になる?」
「……よくわからなくなってきた……」
「そっか。サク……香りに惹かれ合うだけじゃ不満?」
祈り姫であるサクナに香りで惹かれ合い、求めてくれるルカに不満にすら思っていなかった。
マリーに言われるまで。
「そうなのかも知れない」
ルカはコツンとオデコを合わせた。
「サク……言葉は嘘も真実も語る、信じるも疑うのもお前の勝手。冷たい言い方だけどさ、そうさせたのは俺だから……ごめんサク」
それは、何に対しての謝罪なのか。
サクナは人を愛したことも、恋をしたこともない。ルカの言葉の真実がわからない。
「愛してるよ……サク」
そう、ルカは囁く。
間近で見つめ合うその瞳が真意ある言葉かわかるほど、サクナの心に響く。
「大事な言葉だから、誓いの時まで言うつもりは無かった……でも、お前が不安になったら意味なんてないもんな」
切なげに微笑むルカに、なんて自分は愚かなのかと思い知らされる。
こんなにも優しい彼の気持ちを疑うなんて。
「ごめんなさい……ルカ」
「ううん、むしろ……嬉しい。サクがそんなにも俺のことが好きだってわかって」