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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第1章 ~始まりの森~
「でも大事なことだろ、俺の世継ぎ産んで?」
「…………重いよルカ様」
相手に不足があるわけじゃない。
むしろ、有り余るほどの魅力にサクナは慄く。
教養も知識もなく身分も何もかも違う雲の上の存在。だからこそ、その決断をしかねる。
サクナに接するルカは人懐っこく陛下である事をときおり忘れてしまう。
あるいは、王宮の人たちに疎まれていなければもっと素直にルカを求めていたかも知れない。
「ルカ様は後悔しないの? 誰も認めない相手を娶って、恥をかくのはルカ様も同じよ?」
「俺はずっとサクのことだけを見ていた、何故俺が女に興味がないのか本当にわからないのか?」
サクナはポカンとした表情でルカを見上げた。
「お前が祈り姫になる日をどれほど待ちわびたことか、なのにお前は俺を拒否するのか?」
彼の両手はサクナの頬に添えられ、蒼い双眸は真剣で少しだけ切なげに見える。
サクナは胸がキューっと締めつけられる。
「…………そ、れって」