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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第1章  ~始まりの森~

 ルカはクスッと笑い拗ねるサクナに唇を重ねた。彼の甘い香りにふわっと包まれてゆく。

 ────ルカ様を本気で思うなら口づけをするべきじゃない。私がちゃんと拒否するべきなんだ。

 でも、その想いはすぐに打ち消されてしまう。

 ルカに口腔を蹂躙されるたび、彼に征服される悦びをサクナは手放すことが出来ない。求めているのはサクナも同じだから。


「あ……っ」

 サクナは咄嗟、唇を離す。だがルカは追いかけサクナの口を塞ぐ。
 腰に回した手を強くさせ、もうひとつの手はサクナの胸元に這わせた。

「だ、駄目よ、ルカ」

「…………ルカ?」

「あ、ごめんなさいルカ様」

 サクナはルカの手を握りしめ詫びた。
 咄嗟の事に驚き、敬称をつけるのを忘れてしまった。

「…………いいよ、サク、呼んで俺のこと。なあ、もう一度、言って?」

「そ、そんな無礼なことしたら余計教養のない子だと思われる」

「じゃあ、二人きりならいい?」

「…………呼び名なんてどうでもいいでしょ」

「どうでもいいなら呼べよ」

「…………それは、屁理屈だわ」


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