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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章  ~初めての恋は甘くて切ない味~


 そのとき、執務室にケイルが入ってくる。
 
「おはようございますケイル様」

「ああ」

 ケイルは素っ気ない返事を返す。だが、これがケイルだった。

「おはよ兄様」

「ああ」

「ケイル、留守の間頼んだぞ?」

「…………わかった」

 ケイルはコクっと頷き返事をした。

「ルカ、父さんからの伝言で森の麓で待ってるそうだ、村によるよりそのほうが早いからな」

「そうか、わかった」

 サクナの父は元近侍で、先代とルカの近侍を務めていた。

 今回、ケイルがサクナの護衛を任された為ルカの近侍をサクナの父が代わりに務めることになった。


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