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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章 ~初めての恋は甘くて切ない味~
ミモリを残し三人は執務室を後にする、長い回路を歩きルカはサクナの手を握る。
「や、ルカ……誰かに見られる」
「別にいいだろ手ぐらい、何も厭らしいことしてるわけじゃないんだし」
ニカッと悪戯な笑みをこぼしルカは今朝の行為をおもわすようにサクナの指を絡め握りしめる。
サクナは居た堪れないほど恥ずかしくなる。
兄の前だとどうも落ち着かない。身内がいると羞恥が増す気がする。
「ルカと補佐官は従姉弟どおしだったんだ。何で、補佐官やってるの?」
サクナは誤魔化すように話だす。
「ああ、いずれ何処かに嫁ぐときの勉強だと無理やり頼まれて断りきれなかったんだ。辞めて早く嫁げばいいのに、いつまで居るのやら」
ルカは愚痴をこぼすように言う。
あんまりいい印象ではないのだろうか、それとも単純にミモリの幸せを願ってのことか。
どちらにしても、補佐官は辞めるつもりがないと思うサクナだった。