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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章 ~初めての恋は甘くて切ない味~
「コホン」
アルフォンドのわざとらしい咳払いに、ルカは腕を離した。
そしてサクナの左手の薬指にキスを落とし、自身の左胸に重ねる。
「誓って無事に帰ってくるから、待っててね」
「…………はい」
サクナはただ恥ずかしくて仕方なかった。
眩いブロンドの髪がサラサラと揺れ、蒼い瞳は少し寂しそうに笑う。
きゅーと、無償に抱きしめたくなる。
ルカと離れるのはやっぱり寂しい……でも、こういう事もなれなきゃダメなんだ。
サクナはルカの愛馬のおでこを撫でる。
ルカを……陛下を頼みますと願をかける。
任せた。と、言うように緋色の瞳を輝かせた、気がした。ルカは愛馬に跨り騎乗する。
「じゃあ、行くぞ。ケイル、サクを頼んだぞ」
「ああ、ルカも気をつけて」
ルカは頷き、そしてサクナを見る。