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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章 ~初めての恋は甘くて切ない味~
宮廷に戻り、本日も作法の勉強のためドレスに着替えるため部屋に向かう。宮廷の柱廊でミモリと出会う。
「公務ご苦労様です、姫様」
相変わらずの嫌味な言い方。
確かに公務で間違いないのだが、祈りは業務的に行うものではない。
それを敢えてその様に言う補佐官に、嫌悪感を抱いてしまう。
「いえ、祈りを捧げるのが役目ですから」
明らかな敵視を向けるミモリの挑発にのるのはシャクであり、サクナは淑やかな女性らしく大人の対応をする。
「ケイル様もご苦労様です。陛下のためとはいえお付きのような事をさせるとは近侍としてご不満でしょ」
近侍とは陛下の側に仕えるのが役目であり、当然このような遠征でこそ側にいなければならない。
これはミモリの嫌味ではなく事実。
そこまでは迷惑かけれないとサクナもコレばかりは反対した。
兄妹とは言え、互の役目は知っているケイルの役目はサクナを護ることではない。
ルカがサクナを心配するように、サクナもまたルカを心配するのは当然である。
互いが信頼するケイルだからこそ側で護って貰いたいと願うのは当然のことである。
そして理由はそれだけではなかった。