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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章 ~初めての恋は甘くて切ない味~
しかし、実際サクナは王宮で疎まれてる存在で、陛下でなくとも他の者が護衛につくのを心配するのは無理もない。
騎士団及び王宮の戦士は貴族との繋がりが強いからである。兄妹であることは最も安全で『お前は何もわかってない』と叱咤までされなくなく折れた。
ケイルの代わり父を陛下のともに付けることで合意する。サクナは父をお付きの役目に頼むのはさすがに気が引け、それならと兄であるケイルにお願いした。
「家族を護るのは当然のことだ」
「ふふ、ケイル様も妹には優しいのですね、シーボルディー家は昔から身内を大事にしますからね」
これは嫌味だ。
それも侮辱に値するほどの。
しかし、それを言われるとサクナもケイルも何も言えなくなる。
サクナが王宮で疎まれてる存在なのは、何も陛下に求婚されただけが理由ではない。
「今後も同じ事にならなければいいのだけど」
クスっと、サクナを見て不敵な笑みを見せる。
それ迄大人しく訊いていたサクナだが、その言葉だけは許せなかった。
「…………あなたは何を言ったかわかってるの、父を侮辱しただけではなく、陛下を侮辱したのですよ。本当に心配なさるのならそんな事嫌味ったらしく言えるわけないっ」
まるでそうであって欲しいかのような物言いにサクナも怒りをあらわにした。
グッと握りしめる手が痛い。
でも、許せなかった。何よりも人を傷つけることを嫌う祈り姫。
でも、叩いてやりたかった。
それを抑えるように躯を震わせ、グッと手を握りしめる。