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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章 ~初めての恋は甘くて切ない味~
ミモリもサクナを精神的に追い詰めるため自分の言った失言にハッと気づいたのか、唇を噛みしめぐっと堪えた。
「確かにそれはワタシの不徳とするところでした…………お許しください姫様」
サクナは息を吐き荒れた心を落ち着かせる。
「いえ、こちらこそ申し訳ございません」
ミモリがそのつもりで言ったわけでは無いのはわかっていた。だが、それでも感情的になってしまったことを詫びる。けして失言を許したわけではない。
「サクナ行くぞ」
ケイルは柱廊を歩きだす。サクナもそれについて歩く。ミモリの横を通り過ぎるとき、
「同情に過ぎないのよ…………陛下は優しいお方ですもの誰よりも、感違いなさらないことね」
ミモリは王族の者、その真実を知っていてもおかしくはない。しかし、どちらとも取れる言い方。サクナはそのまま歩き続けた。
今から八年前、その事件は起きた。
まだ、コスモ国とリキマシア国が戦禍にあった時代。当時からリキマシア国は和平を望んでいた。