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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章  ~初めての恋は甘くて切ない味~

 今もなお、ミモリのように前陛下が亡くなったのはセシュルドが近侍としての役目を怠ったからだという人はいる。

 陛下より身内を大事にしたのだと。

 当時の騎士団であった陛下を護る者たちの責任を逃れる為、護りきれなかった事を全てセシュルドに擦り付けたのである。

 騎士団たちは何もわかっていない。陛下はセシュルドを信頼しているが、騎士団たちもまた国にとって大切な者たちである。

 セシュルドが居なくてもだいじょうぶであると騎士団を信頼しての事だった。

 前陛下は、皆に伝えた。
 
 誰が悪いわけではない戦争が悪いのだと。兵器を人を殺めることに使うとは愚かなり。

 誰よりも和平を望む。
 人々が争うことは愚かなことだと。

 セシュルドはその責任を感じ辞任した。強い力を持ったものは疎まれるものだと、ケイルとサクナにそして、ルカにそれを教えた。

 
 今回。近侍であるケイルが陛下ではなく、サクナの護衛につき、陛下がセシュルドを呼んだことにそういうことを言う者がいることは覚悟した上での決断だった。

 だからこそサクナは反対したのだが『お前は何もわかってない』と言われては返す言葉もなかった。

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