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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章 ~初めての恋は甘くて切ない味~
話しているうちにサクナの部屋の前についてしまう。ケイルは扉をあけ中に入る、サクナは話の続きを訊きたかったけど部屋には侍女のユイナが待っていた為、中断せずおえない。
ケイルは中を確認すると部屋の外へ出てしまう。
今から着替えるのだから当然なのだが。
兄であるケイルが祈り姫を護るのが役目なのはわかる。しかし陛下もそれが役目とは?
「おはようございます姫様」
「おはよう」
ユイナはクローゼットをあけ、ドレスを選べと一歩下がる。サクナは赤いドレスを手に取る。色合いがちょっと派手だが馬の八朔のように赤いドレスが目に入った。
「姫様。陛下がいらっしゃらない時はもう少し落ち着いた色あいがよろしいかと、普段から派手な色を好む方ならそれでもよろしいですが」
サクナは……あっ、と、それに気づく。
サクナは普段淡い明るい色を好む、赤いドレスなど着たことはなかった。
「ありがとユイナ」
「……いえ、すみません、でしゃばったことを」
淡々と業務的な言い方をするユイナだが、それが嫌味かサクナを思ってのことかくらいはわかる。
「ううん、そういうことよくわからないから教えてくれてありがと」