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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章 ~初めての恋は甘くて切ない味~
「婚約されて初めての遠征ですから、気持ち的に自然と選ぶこともあります。赤が宜しければこちらの色はどうですか?」
葡萄酒のような濃くて深みのある赤。
サクナには少々大人ぽく過ぎる気もするが、せっかくユイナが選んでくれたので思い切ってそれにしてみた。
沈んだ気持ちを明るくするならいつものような色の方がいいのだろうけど、ユイナの気持ちが嬉しく少し気が暖かくなる。
ユイナはサクナの躯にコルセットを締め付ける。
何となくだが躯をジロっと見られている気がしてやまない。女同士だから恥ずかしい事もないがこうも見られると少し気になる。
「なにか変?」
「あ……いえ、すみません」
ユイナは少し感情をだし謝る、どうも照れてるようにも見えなく無い。
ドレスを身に包みながらユイナはテキパキと着させる。
「陛下は、姫様のことを愛しているのですね」
「えっ!?」
急に言われサクナは思わず声を上げてしまう。そんな言葉を他人から訊いたのは初めてのことだった。