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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章 ~初めての恋は甘くて切ない味~
執事長室に入り、本日の講義を受ける。
今日は妃となった後の暮らしについて学んだ。
その驚愕なことにサクナは身震いをする。
妃とは多数の侍女に世話をしてもらう事になるのだが。その侍女頭は補佐官だと言う。
全使用人をまとめるのが執事長であり、陛下の世話を担当している。その、補佐役のミモリが王妃の侍女となるのは考えれば当然のことだった。
人に対して嫌悪を抱くことは良くないこと。
だが、サクナは補佐官だけは好きになれそうになかった。敵意を剥き出しにされていることもあるが、やはり先ほどの失言が大きい。
「上手く付き合う自信ありません」
「本来なら、陛下がクビにすれば補佐官の職は失うのですが、補佐官は王族の方で陛下も無下には致しかねるようで」
それはサクナもわかった。
たとえ陛下と言えど王族としての繋がりやしらがみは口出しできないこともある。
それこそ独裁で横暴な陛下なら可能なのだろうが優しい陛下ならそう簡単には行かないだろう。
身内を大事にするのはサクナとて同じである。
「仲良くしろと?」
「…………いいえ、強くあって頂きたいのです。たとえ、王族の方と言えど自ら使用人となったのですから姫様が気を遣う必要などありません。何を言われても戯言にしか過ぎません。姫様、気を強くお持ちください」