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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章 ~初めての恋は甘くて切ない味~
「凄いね、兄様貴族みたい」
「そうだな、俺には少し広すぎるかもな」
宮廷からやや離れているとはいえ、こんなに立派なお屋敷があるならここで暮らせばいいのにと思いつつ、サクナはキョロキョロとはしたなく屋敷を見渡した。
敷きつめられた緋色の絨毯、天井には大きなシャンデリア。フロアの両端には大理石の階段が見える。
「おかえりなさいませ、姫様」
案内された部屋は王宮でのサクナの部屋よりも広く、窓辺の側に天蓋付きのベッドがあり、部屋に置かれた家具は白で統一されている。
「すごいプリンセスみたい」
「…………あまり変わらないだろ、一応お前姫だし」
「一応ね」
村の規模と王宮を一緒にするのはどうかと思うが。
「姫様。着替えられますか?」
「あ、はい」
いまだコルセットはなれない。今から夕餉と言っていたしサクナは祈り姫の衣装に着替えることにした。
ケイルが部屋を出てゆきユイナにドレスを脱がしてもらう。そして、祈り姫の衣装に自分で着替える。