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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章 ~初めての恋は甘くて切ない味~
その日サクナは父と共に王宮に行った。
王宮に足を踏み入れたのはこれが二度目のこととなる。初めて訪れたのは先代陛下の告別式の時だ。
当時サクナはまだ小さく母とケイルの側にいて、その時のことはあまりよく覚えていない。
だから初めて間近で王宮を見たように、その圧倒される大きな建物に驚きまさにそこは別世界だった。
陛下であるルカと初めて出会ったのが謁見の間。
ルカは噂通りの人物だった。優美で端正な顔、気品溢れ年も僅かにしか違わないのに陛下としての貫禄、そして優しそうな笑顔。
謁見の間で挨拶をすませ森の高台にある祭壇にて母との受け継ぎの儀式をした。その後父と母と別れサクナとルカとケイルは三人で森を歩き王宮に戻る。
その森でルカはサクナにキスをしたのだ。
初めて出会ったその日に、兄のいる前で…………
その時ルカは確かに言っていた。
『サクナを一生護る』っと、陛下で端正なルカに急にそんな事を言われサクナは驚き硬直し何のことやらわからずポカンとした。そして、気がつけば口づけをしていた。