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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章  ~初めての恋は甘くて切ない味~

 陛下は確かに祈り姫を護ると言ったのだ。
 だから、教える必要がなくなったらしい。


「そ、そんなので気づくわけないよ」

「あれでも一応陛下だしな意味は同じだろ?」

「えっ……じゃあ、アレはルカじゃなくて陛下として言ったってこと?」

 サクナはここにきてまたふりだしに戻る。
 ルカは陛下としてサクナに求婚したのかと。
 皆が口を揃え祈り姫だからと言う、それはルカがではなく陛下がいった言葉なのか。

 ────いや、別にいいのだけど最初はそう思っていたわけだし。

 サクナはその些細な違いに少し気になってしまう。いつの間にか心変わりしていた事に気づいてしまった。

 女性に興味がない陛下が祈り姫であるサクナに求婚した。それを嬉しくありがたい事と思っていたのに、今はそれが少し寂しく感じる。

 陛下がルカなのだから別に何が変わるわけでもないのに、陛下としての言葉だと思うと虚しくなるのは何故だろう。


「…………さあ」

 ケイルは素っ気なく応える。
 こう言う言い方をする時はケイルは何かを隠している、そして絶対に教えてくれない。

 
「もう、ちゃんと教えてくれれば良かったのに、意味は同じでも。捉え方が違うよ」

「あいつはお前を妃にするつもりだったんだから、捉え方が違ったままでも関係はないだろ。そういう意味なんだから」

 
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