この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章 ~初めての恋は甘くて切ない味~
陛下は確かに祈り姫を護ると言ったのだ。
だから、教える必要がなくなったらしい。
「そ、そんなので気づくわけないよ」
「あれでも一応陛下だしな意味は同じだろ?」
「えっ……じゃあ、アレはルカじゃなくて陛下として言ったってこと?」
サクナはここにきてまたふりだしに戻る。
ルカは陛下としてサクナに求婚したのかと。
皆が口を揃え祈り姫だからと言う、それはルカがではなく陛下がいった言葉なのか。
────いや、別にいいのだけど最初はそう思っていたわけだし。
サクナはその些細な違いに少し気になってしまう。いつの間にか心変わりしていた事に気づいてしまった。
女性に興味がない陛下が祈り姫であるサクナに求婚した。それを嬉しくありがたい事と思っていたのに、今はそれが少し寂しく感じる。
陛下がルカなのだから別に何が変わるわけでもないのに、陛下としての言葉だと思うと虚しくなるのは何故だろう。
「…………さあ」
ケイルは素っ気なく応える。
こう言う言い方をする時はケイルは何かを隠している、そして絶対に教えてくれない。
「もう、ちゃんと教えてくれれば良かったのに、意味は同じでも。捉え方が違うよ」
「あいつはお前を妃にするつもりだったんだから、捉え方が違ったままでも関係はないだろ。そういう意味なんだから」