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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章  ~初めての恋は甘くて切ない味~

 王宮で疎まれ補佐官や貴族の娘たちに嫌味を言われ、ひとりでこの広い王宮にいることは辛いかもしれない。

 何もわかっていない。
 そう言われるのも仕方ない、自分がどれほどルカと一緒にいる事が心の安らぎになっているか気づいてなかったんだ。

 悩ませるのもルカなんだけど。

 そして陛下としてではなく、ルカ自身が自分の中で大きな存在になっている事を。

 それは果たして良い事なのだろうか?
 やはり、敬称も付けず気楽に話しているのが駄目だったような。

 陛下の妃になる自覚が足らないのでは、と、今更ながらに思ってしまう。


「でも、兄様。どうしてそこまでして陛下が護る必要があるの?」

 家族であるシーボルディー家が祈り姫を護る必要があるのはわかる。

 星にヴァミンが存在する限りその邪気を払えるのは祈り姫しかいない。

 その血を絶やすことは星の混乱、もしくは破滅にも繋がる。子孫を残すことの大事さはわかっている。

 だが、今や国を治める陛下までもが祈り姫を護るのが役目とは。
 
 
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