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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章 ~初めての恋は甘くて切ない味~
八年前村を襲ったコスモ軍、罠だと知りながらも助けにきた父、それは陛下の勅命だった。
その本当の意味をサクナは知った。
当時サクナは六歳だった。あの時の戦慄は今もなお覚えている。
だが、今やこの国にとってどちらが大切な存在なのか目に見えてわかる、それは血筋を護るだけの存在ではない。陛下その者が護られるべき存在なのだ。
だからこそ父は責任を感じ辞任した。
「その役目は今も変らない。だが意味合いが違う」
「意味合い?」
「この事実を知るのは一部の者のみ、サクナすら知らなかった事だろ? わかりやすい挑発、罠だと知り陛下は勅命を出した。サクナ、俺たちがそれを罠だと思うのはその意味を知っているからだろ」
あっ……と、サクナは気づく。
その意味を知ってもサクナはどうしてそこまで陛下が祈り姫を護るのかはわからない。