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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章 ~初めての恋は甘くて切ない味~
それなのにコスモ軍は何故村を襲ったのか。近侍である父を誘き寄せるとなぜ思ったのか。
護るべき存在であることを知っていなければ、それは小さな村がひとつ星から消えるだけのこと。
そもそもこの星の多くの住人は、祈り姫が『星の為に』存在すること自体知らない。
「家族を護る為に誘き寄せると思ったとしか言いようがない」
だけど、誰の目に見ても明らか。
国の最高司令官である陛下の側を離れてまで、セシュルドが村に来るとどうしてわかり得たか。
「それとも、見せしめ?」
「いや、違う。コスモ軍にとってどっちでも良かったんだ、父さんが陛下の側を離れようと離れまいと。コスモ軍の狙いは陛下とお前だったんだ」
「な、私?」
それは初めて訊く事だった。
祈り姫は星の為に存在する。
それは何処で祈りをしても同じという意味である。コスモ国が祈り姫を手に入れてもその能力が変わるわけでもない。
多少は影響なくもないがそれは雀の涙程度の差であり事実変わりない。
「ああ、この国にとってどちらも大切な存在。だが、コスモ国にとってどちらも邪魔な存在なんだ」
「…………私、命狙われてるの?」
「命とは限らない。その血を狙ってるかもしれない、それはコスモ国にしかわからないことだが」