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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章 ~初めての恋は甘くて切ない味~
その後。サクナは沐浴をすませ寝衣に着替えて部屋に戻る。薄暗い部屋の窓から月明かりが照らす。
少し大きめのベッド、カーテンを開けそのベッドに雪崩れるように躯を沈める。
知らなすぎた。
王宮のことだけではなく自分のこともよくわかっていなかった。
静まり返る寝室、ルカの寝室に比べればそこまで広くもない。だがひとりになると急に寂しさが込み上げてくる。
ルカは今何処かの宿屋で眠っているのだろうか。
ルカの向かう国境までは王都から三日ほどかかるらしい。馬車ではなく乗馬で馬を走らせているのでそれよりは早くつくようだ。
この王宮に来て二カ月、ずっとルカの側にいた。
そして、初めて結ばれた日からは、ほとんどルカと一緒にいる。こんなに離れたのは初めてだった。
────結局甘えてるんだ優しさに。
ケイルが側に居てくれてるうちは平気だったのに、ひとりになった途端ルカの温もりが恋しくなる。
執事長の言葉を思い出す。
────強くなりなさい。
今すぐには無理だけど強くならなきゃダメだ。
ルカもケイルも、心配しなくてもいいように精神的に心を強くもとうとサクナは決意する。