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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章 ~初めての恋は甘くて切ない味~
屋敷に戻ると執事のアラウドが微笑ましく出迎えてくれる。
「おかえりなさいませ」
いつも以上に微笑ましく見えるアラウドは、サクナの方を見てニコッと笑む。
「サクナ様。陛下は二日後に帰られるそうですよ、視察も無事終わり何も心配するなどの事です」
「ほんと!?」
サクナは、子供のように無邪気に喜ぶ。
クスッとアラウドが笑うのを見てサクナは小さく咳払いをしながら頬を染めた。
沈んだ心が、晴れる思い。
「良かったなサクナ」
元気な姿を見てケイルも安心したのかいつもより優しげに言った。
揚々とした気持ちで部屋に戻り本日の講義の為、着替えをする。
「姫様。今日は随分顔色がよろしいみたいですね」
いつも淡々と業務的にこなすユイナが少し嬉しそうに声色を上げ訊いてきた。
サクナは、その様子を見てふと気づく。
ユイナは何も言わないが毎日自分のことを見ているのだと。少し塞ぎがちだった事にも気づいていたんだと。