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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章  ~初めての恋は甘くて切ない味~

 王宮では疎まれる存在。
 そう思っていた、だから卑屈になることもある。

 だけど侍女としてユイナはサクナを心配してくれていたのかと思うと自分がまわりを見ていなかったことに気づく。

 疎まれる存在といっても皆がそうなわけじゃない。

「陛下が戻ってくるって訊いたから、ちょっと浮かれたのかも」

 ユイナはコルセットをギュっと締め、そうですかと、淡々と話す。
 ドレスを着させながら、良かったですねと、少し微笑み言った。

「あまり浮かれていますと、また何か言われるかもしれませんよ。わたしたちの前だけにしておいた方が宜しいかと」

「ユイナの前ではいいの?」

「ええ、侍女ですから」

 やはりこいうい時は自然と感謝の言葉が出てしまう。

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