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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章  ~初めての恋は甘くて切ない味~

 沈黙は肯定してるのと同じである。
 違うのなら何故否定してくれないのか。

 サクナは胸がざわめき脚が震える。
 ただ、ミモリをというか正面を見ているだけだった。

 広い柱廊、静けさをまとうその先を見ていた。


「陛下はお優しい方、でも姫様。虚しくありませんの? そうまでして陛下の妃になりたいですか。恋愛の自由…………身を引いて差し上げるべきではございませんこと?」

 ミモリはそれが目的だった?

 サクナはようやく眼をミモリに向ける。

 さも、その女性の為というが、結局は自分の為にサクナを追い出そうとしている。

 サクナはぎゅっと手を握る。
 気持ちを落ち着かせゆっくりと静かに息を吐く。

 その話が真か嘘かケイルは何も言ってくれない。
 ミモリの言葉よりもそれがサクナを焦らせる。

 だけど、サクナの握りしめた左手がルカの想いを信じさせてくれる。

 

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