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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第5章 ~初めての恋は甘くて切ない味~
「それが、事実だとしても私は構いません」
「まっ……したたかですのね、姫様」
「陛下が望まれるのなら、私がとやかく言うことではありませんから」
何が真実なのかわからなくなる。
でも、全てが嘘だなんて思えない躯も心もルカに恋焦がれる。それを教えてくれたのはルカだ。
「すみません、講義がありますので」
「その講義も必要なくなるかも知れませんよ? どこぞの想い人を連れて帰ってくるやもしれませんし」
「いえ、学ぶ機会を与えてくださったのですから、そのご好意に甘えさせて頂きます」
ミモリは落ち着いたサクナを見て面白くないと、言った表情を見せる。
慌てふためき、その身を降りれば喜ぶのはミモリだ。ルカは喜んでくれない。祈り姫として必要としてくれるのならそれでいい。
心にどれほどの想い人がいようと、サクナ自身がミモリ同様ルカを諦めることがもう出来ない。
良い人になんてなれない。
ルカは、好きだとも愛してるとも言ってくれた。