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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第6章 ~糖度注意報~
『……ク、サク』
その次の日の夜サクナはまた夢を見る。
その日の夢はやけに生々しかった。ふわっと鼻孔をくすぐる甘い香り。
『ルカ、会いたかった』
抱きしめる腕、じんわりと温もりを感じる。
『熱烈な出迎えだな』
ふわっと重なる唇が暖かく鼻孔を擽る甘い香りがより強く…………
目の前にルカがいた。
薄暗い部屋、空はやや青み帯びて夜明け前。
パチパチと何度も瞬きをする。
「起きた? やっぱりサクは姫なんだな」
────意味分からないし。
この感じ現実? それとも夢?
「…………ついに幻想まで見るようになった」
「何言ってんのサク。そんなに寂しかった?」
ルカがここにいるわけない。
ルカが帰ってくるのは明日なのだから。
どんなに早くても一日で国境からここ迄帰って来れるわけがない。
だけど、手を伸ばし触れるルカは暖かく、ルカはその手を掴んでキスをする。柔らかな感触、ブロンドの髪から見える蒼い瞳がサクナを見る。