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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第6章 ~糖度注意報~
「でも、どうして? 明日帰ってくるんじゃなかったの?」
ルカの帰ってくる日がわかり、王宮では出迎えのパーティの準備で使用人たちはいそいそと準備をしていた。
「一日ずらして嘘の報告したんだ、王宮に帰ったらのんびり出来ないから、サクとゆっくりするために」
「そんな勝手なこと」
言いかけてサクナはハッと気づく、ルカはケイルと一緒に初恋の人に会いに行っていたことを。
「…………侍臣に怒られるよ」
「別にいいの、サクは俺の妻になる人だから、逢引しても怒られないよ」
他の女性だったら? と、言いたかったけど、そんなこと訊いてもルカが本当のことを言うわけ無い。それに虚しくなるだけだ。
ルカが過去にどんな恋愛をしてもそれを咎めるのは出来ない。
サクナは自分のところに帰ってきてくれた事に不安な心が薄れてゆく。
「あ、そうだ、サクちょっとゴメン」
そう言ってルカはサクナと離れ、そばに置いてあった小瓶を差し出す。
「おみやげ、サクこれ好きだろ?」
それは南部地方の特産物の甘い果汁の飲み物でケイルがおみあげによく買ってきたものだった。
「あ、ありがと。兄様から訊いたの?」
「飲む?」
「えっ、今?」
ルカは小瓶を開けそれを自分が飲み始めた、サクナはポカンとしながらみてると。