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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第1章  ~始まりの森~
 

 祈り姫は破瓜すると御神体である星剣を失う。
 ご神体は物質から胎内へと溶け血となり次の世代へ受け継がれるからだ。

 夫となる人以外と結ばれる事は有り得ない。
 婚姻を済ませ、初夜を迎える。

 サクナは初夜の日まで生娘でなければならない。

 だが、彼女自身、ご神体を失うことに異議があるわけではない。祈り姫にとって口づけは神聖なものであり、その相性を身体に深く刻み込まれる。

 何度も交わしたルカとの口づけ、相性がいいのは既にわかっている。祈り姫の本能がルカの遺伝子を望んでいるのだ。

 古き術者の家系である王族、そして、サクナもまた古き術者の家系である。

 身分は違えどその流れる血筋は惹かれるものがある。サクナにとってルカは最良の血筋なのだ。

 一般人の祈り姫は結婚を決めればすぐに夫婦となれる。だからこそサクナは意を決した。


 関係を求めているのはサクナも同じだから。


 だが、サクナも知らなかった、三ヶ月も待たなければならない事を。

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