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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第6章  ~糖度注意報~

「サク…………?」

 ちょっと戸惑うルカの声がサクナの悪戯心に火をつけた。

 柔らかな耳朶を咥えると、ふにふにとして意外に気持ちいい。ルカがここを攻める気持が何となくわかる。

「っ……、サク、ち、ちょっと」

 それは焦る声となり、首筋が総毛立ち、サクナを掴む腕が震えている。

 ────何か……愉しい。

「くすぐったい?」

 耳元で少し甘えた声でサクナは尋ねる。

「…………くすぐったいわけ無いだろっ」


 ルカはサクナの両手首を掴み組み敷き、少し怒ったような表情を見せた。

 サクナはドクンっと胸が跳ね上がる。

 ルカの蒼い瞳の奥が熱く野生的に見え、ゾクッと躯が戦慄く。
 蒼い瞳が氷のように冷たく躯が凍える、だが、その瞳の奥に炎を思わすほど熱く、冷えた躯を熱く火照らせる。

 表裏する瞳に躯が慄き、けれど何処かそれを望むような…………サクナの心も表裏する。

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