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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第6章 ~糖度注意報~
ルカはサクナの左手を指で絡め握り締める。
彼の魅力はその秀麗な美貌だけではないのだがやはりため息をつきたくなるほど見とれてしまう。
優しく髪を撫でられながら、ふんわりとくすぐるような口づけ、綿毛のように触れるその感触は焦れったくもある。
「サク、俺が居なくて寂しかった?」
寂しかった。ずっと会いたかった。
だが、ルカはサクナが寂しくないように、近侍の兄を護衛にした。
これから先、ルカは度々遠征に行くこともある。
強くならなきゃ…………寂しかったルカを心配させたくない。
「兄様が居てくれたから寂しくなかったよ」
「そっか」
ルカはフッと笑み、目を細めた。
「寂しくなかったんだ」
ルカは明らかに不満げな声でいい、その笑顔に鬼気迫るものを感じる。
────あ、あれ? 怒ってる?
「そうだよな俺が居なくても兄様がいれば平気だよな、サクは兄様が好きだもんな」
「…………拗ねてるのルカ?」
「別に」
────拗ねてる…………素直に言ったほうがよかったの?
今更、取り繕うのも変だし。それに、心配掛けたくないのは本当。サクナは強くなりたかった、直に人の言葉に惑わされ、不安になってしまう自分が情けなく。
今回の事も、不安になる事なんてなかったのに。