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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第7章  ~ご主人様の甘い誘惑~


 自分はからかわれているのだろうか。
 しかし、ルカは至って真剣な表情をしている。

 言葉を失いサクナはあんぐりと口を開けやや情けない表情でルカを見ていた。


「はしたなく口開けてると舌いれるぞ?」

 サクナはハッと口を閉じる。
 ルカは足を止め、顔を近づけサクナの視界を塞ぎ綿毛のように優しく唇に触れた。

「いちいち可愛い反応するなサクは」

「…………やっぱりからかってるの」

「どうだろ、からかいたくなる気持ちがないわけじゃないけど、言葉は本気だ」

 ルカは無邪気に笑みながらサクナの手を引き歩きだす。
 サクナはルカの言葉に一喜一憂する。
 惚れてしまった弱みと言うべきか、そんなルカをどこか憎めない。

「だけど、抑制すると優しく出来ないかもな、制御不能になっても許してね」

「…………冗談だよね?」

 ルカはクスッと笑み何も言わず正面を向いて歩く。

 ────冗談だよね…………?

 サクナはそう心で呟きながらも躯が冷えるようで火照るような落ち着きがなくなる。

 じりりと照らす陽の光、初夏をおもわす熱い陽射しが躯にジワリと汗を浮かせた。

 
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