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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第7章  ~ご主人様の甘い誘惑~

「ルカ宮廷に帰っちゃうの」

 空が紅に染まり、サクナたちが夕餉を済ませた後、談話室にてルカとケイルは晩酌をしていた。

「ああ、宰相に今回の報告をしなきゃならないからな。大まかな事は侍臣に任せてるけど」

 明日まで一緒にいれるのだと思っていたサクナは明らかにガッカリとした。
 もちろん、淑女を目指すサクナがそれを表情に出すことはないのだが。

 ルカの寝室は、執務室と対になっておりお邪魔するわけにもいかない。

 政ごとに関してサクナが我儘を言うわけにも行かず口を紡ぐ。ひとときの夢が覚めたような心地だった。

「寂しいのか、サクが寝つくまでは傍にいてやるよ」

 まだ、ルカの側にいれるのだとわかった途端パッとサクナの表情に赤みがさす。

 嬉しいのだが兄がいる手前、素直にはしゃぐわけにも行かず、サクナは「そう」と素っ気なく返事を返した。


  
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