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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第7章  ~ご主人様の甘い誘惑~

 それ見たことか、そんな眼でケイルはフッと笑った。それはとても挑発的に思えた。

「葡萄酒呑んでみたら? 酔ったサク見てみたい」

 そんな兄妹内で戦いが起こるなか、ルカはアラウドを呼び葡萄酒を頼んだ。

「後悔するぞルカ…………」

「後悔? でもサクの家系は皆、酒に強いだろ」

 その通りだった。
 だが、サクナは酒に興味を持つこともなく口にする事はなかった。

「嫌な予感がする……コイツが酒を呑むと良からぬことが起きる気がしてならない」

「何だそれ? むしろ気になる……呑んでみろよサク」

 ツンっと香るそれにちょびっと口をつけてみる。
 口腔に甘く苦い香りが鼻にぬけた。

「どう?」

「…………よくわかんない」

 それは美味しいとも不味いとも表現しにくく、嫌いな味ではない。

 と、言ってもサクナが呑んだのはほんの少し。

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