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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第8章  ~天使の微笑みは淫らに咲く~

 サクナは、脆そうで芯が強い。
 その小さな躯にどれほどの不安を抱えてる?

 素直に甘えてくれればいいのに。

 そう思った事に少し後悔をした。
 さすがケイル伊達にアイツの兄じゃない。


「ルカ……熱いよ。脱がせて」

 愛くるしい緋色の瞳が潤みより赤く艶めいている。とろりとした瞳でそんな事言われたらルカも抑えていた感情が一気に高まる。

 今日は一緒に寝てやれない。
 情事をすればサクナは起きたとき寂しがるに違いない。それはルカとて同じだった。


「サク、ここで? 兄様の前だぞ」

「ルカの手、気持ちいい……ルカ、傍にいて」

 けして人前で、ことさら兄の前で甘えるサクナではない。酒の効果がこれほどまでとは、ルカは高鳴る気を抑え冷静なふりをする。


「悪いケイル……明日、頼んだぞ」

「…………ああ」

 ケイルとは八年来の付き合い、ルカの気持ちなどお見通しである。

 互いに目を合わせ苦笑する。

 ルカはサクナを抱きかかえ、談話室を後にし彼女の寝室にゆく。


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