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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第8章 ~天使の微笑みは淫らに咲く~

「ふふ、良かったわね。ケイルくん、お友達が出来て」
「はあ? 何言ってんだ母上、コイツは……」
春の微笑みをむけるジュリアンに対してケイルは不機嫌そうに反論した。
「同じ歳だし友達でいいよ」
「…………軽い奴だな、信用しろと?」
第一印象が良くなかった。
だが、ルカはフッと表情を和らげた。
「させてみせる、とりあえずお前の大事な妹を護ってみせる。それで信用しろ」
「出来るのか? お前に」
「出来るできないの問題じゃない。やらなきゃならない、俺、その子が欲しいから」
ケイルがより睨みつけてきたのは想定内。
今、ヴァミンよりも畏れるのは人だ。
コスモ国は領地と未来の祈り姫を狙っている。
例え、父の意に反しても護ってみせる。
ルカは強く願う。
父の愛したこの国を、その民達を。
そして、俺の愛すべき人達を必ず護ってみせる。
王宮と王都が見渡せるこの高台にて、僅か十歳の若さでこの国の主導者となるルカは決意を新たに前に進むことにした。

