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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第8章 ~天使の微笑みは淫らに咲く~
ルカは戴冠式より早く、コスモ国と和平を結ぶことに成功した。
若干十歳の若さで賢王と称されるルカは、その名を両国に轟かせた。
新しい国王の誕生と終戦に国民たちは、盛大に祝い絶えぬ笑顔に包まれた。
「父上は草葉の陰で怒ってるかもしれないな、いやそれとも泣いてるかも」
ルカは高台にてリキマシア国を眺めなながら言う。
泣くなと教えた父を泣かせるほどの事をしたのだとルカは自嘲気味に言う。
「泣こうが喚こうが好きにすればいい。陛下……先代はその信念を貫いた。陛下は陛下の信念を貫けばいい」
聞き慣れない『陛下』と呼ばれることにルカは隣で険しい表情をしているセシュルドを見た。
セシュルドは、その場しのぎの慰めを言う奴ではない。だからこそ、信頼出来る。