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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第9章  ~夜宴は月夜の下で~

「それならどうして気持ちを伝えた、だからおかしな事になったんだ」

 
 全ては、あの日ルカがサクナの気持ちに応えてしまったが為に、よりサクナを苦しめることとなった。

「言えるわけない。嘘でも言えなかったんだ」

「だろうな。お前の性格を考えれば言えるわけない。初めから、わかりきっていた」

 ケイルは怒るわけでもなく、淡々とした口調でルカの甘さを指摘した戯言のように。

「サクが…………いや、言い訳だ。正直嬉しかったんだ。そうだよな、最初から無理だったんだ」

「今度はのろけか? 女に興味がないとは思えない発言だな」

 ケイルはフッと笑い絡んでくる。
 妹の事になると冷静なケイルも兄バカになる、ルカは苦笑するしかない。

「どうせ、俺はお前と違ってフリをしてるだけだよ」

「やれやれ、冷静な陛下もサクナには過保護になるようだな」

「…………それは、お前もだろ」

「俺がか?」

 ────自覚なかったのか。

 確かにケイルは、サクナを甘やかすだけではなく厳しい一面も見せている。

 しかし、百歩譲っても妹のことでこんなに絡むのは過保護と言ってもいいのではないだろうか。


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