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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第9章  ~夜宴は月夜の下で~

「で、その原因となった補佐官のことは何かわかったのか?」

「何も、ナーシサス公にも訊いてみたがわからないそうだ」


 全ての元凶は補佐官のミモリにあった。

 ミモリは四年前、花嫁修業の為と執事長補佐役になりたいと志願してきた。

 王族で公爵の称号をもつミモリを使用人として雇うことにルカを始めとする、他の王族たちも反対した。

 ルカが反対したのは、王族が使用人となれば、その使用人たちが気を遣うからなのだが。

 現在、王宮で仕える女性は使用人と祈り姫だけである。貴族でありながら使用人になる者はいる、しかし、公爵家の者は居ないのが現状だった。


 当然、陛下に近づくためと噂されるのは必然のことだった。ミモリは、妃の座を狙っている野心家であると他のものはいい顔をしなかった。

 
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