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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第1章 ~始まりの森~
「わかってるなら邪魔するな」
ついにはルカはその声の主に怒りを顕にした。
「開けますよ」
「…………邪魔するなって言ってんのに」
サクナはオロオロとしてしまう。
その声の主は、サクナも知る相手だった。
「サク、何も心配すんな」
ルカはサクナの髪をなで優しくキスをした。
怒ってる割に冷静なルカに少しホッとする。
サクナの隣にドサッと座り「どうぞ」と、声をかけた。
開かれた扉より現れた女性は、執事長補佐役のミモリだった。女性使用人のトップであり、執事長の次に偉い人である。
長い黒い髪をトップに纏めてスッキリとした清楚と気品を持ち、躰の線がハッキリとわかる細身のドレスを纏い、そのスレンダーな躯を想像するに容易い格好だ。
ミモリは一礼をし、ジロリとサクナを睨む。
役所が違えど地位で言えばサクナのほうが上なのだが、長年王宮に勤めてる彼女の貫禄はサクナを威圧するには容易いことだった。