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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第1章 ~始まりの森~
「陛下。失礼ながらここは女性と戯れる場所ではございません。陛下と祈り姫が部屋に入るところを使用人に目撃されております、直ちに祈り姫を部屋に戻るよう指示なさって下さい」
陛下を前に恐れることなく威圧するようにされど丁寧に話す口調がミモリをより威圧的に見せた。
「妃を選べと言ったのは補佐官だろ、なんの問題がある、ここはそんなに窮屈な場所だったか?」
「…………陛下が、祈り姫に御執心なのは存じております。妃となるものは後宮にて過すのがこの王宮での決まりでございます。なれば、祈り姫を解雇し後宮にお移し下さいませ」
ミモリは古いしきたりを忠実に秩序を護る人である。ルカと仲良くするサクナをよく思っていない。
サクナ自身個人的に何度も祈り姫としての立場を弁えろと指導を受けていた。
ルカとの結婚を躊躇する原因のひとつであった。
「サクナは、祈り姫としてこの王宮に嫁ぐ後宮には入れない」
「それは、さすがに陛下のわがままとしか言えませんが? 何もわたくしは反対をしてるわけではありません。秩序を護るためです、祈り姫を解雇し後宮に移せば陛下の望みのままに」
ルカはサクナを祈り姫として妃になった後もその役目を願った。それは、サクナも同じ気持ちで互いの意見が一致していた。
だが、それを王宮の者は反対している。
王宮は勤める場所でありサクナも祈り姫として王宮に住んでいる。
男女の情事を行う場所として不適切であるのは承知している。
実際、皆やっていることだった。暗黙の了解というか婚前交渉を行う場所として自身たちの部屋を使う。