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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第9章 ~夜宴は月夜の下で~

「…………ヴィスト」
「何です陛下」
「サクは、妃になるんだ。呼び捨てするな」
────情けない…………こんな事しか言い返せないとは。
ルカは再び煉瓦道を歩き王宮へ戻る。
その足は重く本当は他の所に行きたがっている。
季節は春から夏へと変わってゆく。
厚手の盛装ジャケットを着れば夜でも寒くはない。
しかし、すごく肌が恋しい。
足を延ばせば逢える距離。
それが、ルカには何とも長く感じる。
ルカは歩きながらフッーとため息をつく。
────どんどんワガママになる。
空を見上げれば満天の星が輝いていた。

