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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第9章 ~夜宴は月夜の下で~
「健気ね、そう言い聞かせなきゃ堪えられませんものね」
「別にそういう訳じゃ」
「姫様、陛下が昨日どこにいらしたかご存知? それでも、陛下を信用なさるの?」
サクナは少し戸惑ったように「はい」と、返事をする。
ご存知も何もサクナのところに行っていたのだから疑いようもない。
「そう、知ってらっしゃったの。陛下が初恋の相手の所に会いに行っていたことを」
「えっ!? …………」
サクナが驚くのも無理はない。
その事実を知らないのだから、ルカは少し後悔する。こんな事なら昨日言えば良かったと。
最悪の形でルカの淡い恋風を補佐官は見事に吹かせてしまったのだから。