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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第9章 ~夜宴は月夜の下で~
いつもならそう思っていたかも知れない。
鈍いサクナのことだから変に誤解することも考えられる。
だが、サクナの綺麗な髪はトップに纏められ、耳を出し首筋には何本かの束をカールしたおくり毛が悩ましく彩られている。
俯いてもわかる、耳が真っ赤に染まってる。
素っ気ない返事はサクナの照れ隠しだ。
「健気ね、本当にお許しになるつもり?」
もはや、補佐官の言葉は滑稽でしかない。
だが、その目的はわからない。
最終宣告を下せばその目的は闇へと葬られるかも知れない。
「補佐官殿。これ以上サクナを苦しめると言うなら俺にも考えがある」
「な、陛下。例え陛下と言えどその自由はありません」
だから、補佐官は強気で要られる。
例え。陛下と言えど個人の感情で人事を行うのは宜しくない。