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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第9章  ~夜宴は月夜の下で~

「既に叔父殿には許可をとっている、宰相にもな」

「ま、まさか…………」


 冷静な補佐官もさすがに驚いたようだ。


 補佐官にとって、陛下はサクナを祈り姫として必要としている。そう、認識をしているのだから。

 補佐官は真実を伝えてるだけだと、陛下がそこまでするとは思っていなかったのだろう。

「嫁にいけ、相手は宰相の孫息子、お前にとって悪い話してはないはずだ」

「ご、ご自分は、恋愛の自由をなさるのに、わたしにはそれを押し付けるのですか」

 それは陛下として最低な行為。
 自身の為に、人事を行い果にはその生涯を縛ろうとしている。


「ああ、サクナを護るためなら、俺はどんな非道にもなれる」


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