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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第9章 ~夜宴は月夜の下で~
「では、俺が本当のことを言わなかったのが原因だったのだな。それならもう、サクナに嫌がらせする理由もないと」
「…………はい」
正直、信用なんてできない。
補佐官からは、それ以上のものを感じた。
確かにルカの直感だった、補佐官に本当のことを言うとサクナに、もっと酷いことをする気がしてならなかった。
執拗に陛下がサクナに好意を見せると、それを邪魔しているとしか思えない。ふたりの間に亀裂を入れようとしていたのは明確だ。
それら全て、陛下に抱かれるためだったと補佐官は言い切った。
「俺に負があったのは認めよう。だが、それだけの為にサクに苛むような行動をとった者に、妃の侍女など任せられない。補佐官殿も、もういい歳だこれを機に職を退いたらどうだ」
「はい、このような事態を招いた事は責任を負うつもりです。ですが、陛下。あと、一ヶ月、どうかわたしの最後の任務までやらせて貰えませんか」