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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第10章  ~暗闇の誘惑~

「本当のことが言えなくて堪えてたのに、それすら間違いだったのか」

「いや、補佐官の執念はそんなもんじゃない」

「んー、本当にルカの事が好きな訳じゃなければ、抱いてくれないことに対しての嫉妬じゃないの?」

「抱かない事の嫉妬?」

 サクナはコクっと頷く。

「補佐官は、ルカは私のことが好きとは思ってなかったんでしょ? それなのに…………、条件は同じなのに自分だけ抱いてくれないから意地になったんじゃないのかな?」

 ルカとケイルは、ポカンとサクナを見る。

「へぇ? それだけの事で、お前に嫌がらせしていたのか?」

「それだけって、結構大切な事だと思うけど」



 愛し合ってるわけでもなく、挙式もあげぬうちから子作りをしようとしてるのだから、嫉妬してもおかしくはない。

 願っても抱いてもらえないなら尚更のこと。


 そして、陛下がサクナに感情を持ち合わせていないのに情事行うのは、サクナが陛下を望みそれに応じてくれているから。

 もとより陛下は女性に興味がない。
 サクナがルカを好きなのは目に見えてわかること。

 補佐官や貴族の娘は『祈り姫』であることを利用し、サクナがルカに迫っていると思っている。


 そして、ルカは優しいからサクナを傷つけるような事はしない。

 それが理由で自分を抱いてくれないのだと思ったらサクナが邪魔だと思うのは当然のこと。


「よく、わからないけど。補佐官は綺麗だしプライドが許さなかったんじゃないの?」

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