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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第10章 ~暗闇の誘惑~

それはミモリだけではなく貴族の娘たちにも言えること。
爵位も持たぬ田舎娘、お世辞にも貴族たちよりも美しいとは言い難い。彼女たちからして見ればサクナなど小娘でしかない。
教養も礼儀も着飾ることを知らぬ娘が『姫』であることだけで、求婚までされた。
どんなに己を磨いても手に入れることが出来ない『血』を、陛下は望んだわけだから。
「陛下は女性に興味がないって思ってるわけだし、ことさら恨まれても仕方ない存在だと思う」
サクナは自嘲気味に表情を歪める。
「あ……いや、それは嘘ではないけど」
サクナはそんな事とっくに気づいている。
だが、それは口にだせるほど勇気も傲慢さもない。
「きっと。その事を知ったらもっと酷いことになったかも知れない。だから、ルカは言わなかったんでしょ?」
サクナは少し照れながらルカを見る。

