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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第10章  ~暗闇の誘惑~


「兄様の許しもでたし、な? いいだろサク」

「余計恥ずかしくなっただけ、もう、どうしてルカは平気なの」

「なら、目隠ししてあげる、見えるから恥ずかしいんだ」

 何言ってるの……っ、と反論する間もなく、ルカはサクナの眼を手のひらで隠し、口づけをした。

「や……っ、んぅ」

 視界が急に暗くなり、ルカの手のひらと唇の感触が伝わり、更に心臓を高鳴らせた。

 破裂するんじゃないかと思うぐらい、バクバクと胸が苦しい。

 
「サク、力抜いて舌いれられない」

「や、な、もうだめっ……んっ」

 サクナが口を開いたのを見計らってルカは無理強いに舌を入れてくる。

 突如、訪れる鮮明な香りとルカの熱い舌にサクナは眉根を寄せルカの腕を掴み堪える。

 そうなってしまえばもう抗う事すら出来なくなる。ルカの絶妙な舌戯にサクナの理性までもが熱に蕩けてゆく。

 有り得ないほどの緊張感が、起爆剤となりサクナは胸のドキドキが恋の鼓動と重なっていつも以上に感じてしまう。

 ルカの手が触れてる躯までもが熱くなり、呼吸は苦しく、甘い感情がいやになるほど沸き上がってしまう。

 ────に、兄様の前で…………ふぅんんっ!

 声だけは絶対に洩らせる訳にはいかない。

 しかし、我慢すればするほど苦しく、口腔を支配するルカにどうしようもなく感じてしまう。


 やっとのことルカはサクナを開放してくれた。
 ハァハァと、胸を上下させ、呼吸を落ち着かせようとする。


「たまにはこんなのもいいな」

 ルカは耳元で小さく囁いた。

 想いとは裏腹に、その口づけは初めてキスを交わしたような緊張のドキドキと似ていた。だけど、その甘い感情を知る躯がなんとも言えぬ高揚感を与えた。

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