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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第1章 ~始まりの森~
恋愛の自由。
それは、女性たちの心も変えた。
愛すべき異性と結婚をする。
それは、女性なら誰もが望む未来の夢でもある。
素敵な出会いに心をときめかせ、身も心も委ねる相手を探し、互の変わらぬ愛を誓い結婚をする。
「わかっているなら訊くまでもない、俺は祈り姫としてサクナを必要としているだけだ」
甘い口づけも、囁きも全てその為。
ミモリはそれをサクナに訊かせご満悦の様子。
────そんなこと最初からわかってる。
陛下は、あなたを愛してるわけじゃない。
勘違いなさらないことね。あなたは祈り姫として役目を果たせばいいの。陛下の妃になる身分ではない。
そう。何度もミモリに言われた。
ルカ自身の口から訊いたのは初めてではある。
────でも、補佐官は知らないから。
それを哀しいとも寂しいともサクナは思わない。
祈り姫の一族は、そもそも恋愛の自由がない。
素敵な出会いに恋焦がれることもない。
長の決めた相手と結婚をするだけであり、その役目は一族の血を未来へと継ぐことである。