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祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第10章 ~暗闇の誘惑~

「飲めないわけじゃないんでしょ? こういう場で遠慮する事はないのに」
サクナも、その味は知っている。
本当は少し惹かれるものがある、芳醇な味わい五臓六腑にしみる旨さにコクっと喉がなる。
しかし、昨日の醜態を思い出しやや頬を赤らめレモネードで喉を潤す。
ルカにも飲むなと言われているし…………
ヴィストーターもグラスを傾け葡萄酒を飲む。
「顔が赤い、何かやらかしたの?」
サクナは、飲んだレモネードを吹きそうになりつつ、必死に押えごくんっと飲み込んだ。炭酸がシュワシュワと喉に焼けるおもいがした。
「べ、別に……」
「可愛いね、サクナ。陛下が御執心するのも頷けますね」
と、人懐こい笑顔を向ける。
何とも言えぬ羞恥がサクナを襲う。
ルカとの間柄を笑顔でいう人は王宮では稀で、ハッキリ言って慣れてない。
面影がルカに似てるだけに羞恥が割増だ。

