この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
祈り姫 ~甘い香りに惹かれて~
第10章 ~暗闇の誘惑~

サクナはケイルの膝の上に抱えられ、これはこれでかなり恥ずかしい。
噴水の周りは魔石光により、ライトアップされていて見るに明らかな状態。
「サクナは、こういう場はなれてないのですね。陛下も貴族の娘たちと楽しんでいるのに」
ほら、と、ヴィストーターが指差す方向を見ると、沢山の女性に囲まれているルカの姿があった。
爽やかな笑顔を向けるルカ。
見るからに楽しげな雰囲気である。
「ルカ様は……公務だから。私は……その」
「サクナも公務でしょ? 妃になるんだから。ここ、おいで?」
「下心見せてる奴に公務も何もない」
ボソッとケイルは地を這うような低い声で言う。
「やれやれ、忠犬は堅いですね。このぐらい普通ですよ? 男は皆、下心を隠し持ってるものです。何もとって喰おうとしてる訳じゃないのですから」
柔らかな口調で優しげに言うヴィストーター。
恥ずかしげもなくそういう事を言う血筋なのだろうか。

